[請負]原材料費の高騰を理由として請負代金の増額を請求できる場合について
令和4年のウクライナ戦争により国内の原材料費及びエネルギー代は高騰しており特に製造業を中心として中小企業の経営は苦しくなっています。一方大企業では賃上げの傾向が高まっており、私たち中小企業は価格転嫁を実現して売り上げを確保する必要に迫られています。
このような状況の下経済産業省及び公正取引委員会では、原材料費等の高騰を理由とする請負代金の増額交渉を促進する法律の解釈を示しています。
具体的には、注文者(元受け)が請負代金の増額を拒否する場合、独占禁止法2条9項5号の優越的地位の濫用又は下請法4条1項5号の買いたたきに該当する可能性があるとしています。
つまり請負代金を増額できるのが原則的な取扱いであり、これを拒否する側がむしろ例外となり適正な価格交渉を拒否して請負契約を継続すれば場合によっては公序良俗に反するものとして代金の一部を返還しなければならない可能性もあるということになります。
いずれにしても、社会の分断、感染症の拡大、ウクライナ戦争という情勢の下では中小企業の内部努力だけでは太刀打ちができない事態となっており、これまで検討の余地さえなかった注文者(元受け)に対する価格交渉に踏み切らなければならない事態となっています。
注文者(元受け)に請負代金の増額を交渉する場合もお気軽にご相談ください。
参考
経済産業省 原材料価格、エネルギーコスト等の上昇に係る適切な価格転嫁等に関する下請事業者等に対する配慮について「https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220428007/20220428007.html」
令和5年2月8日
水野健司特許法律事務所
弁護士 水野健司。
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