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2024年04月05日

不貞(浮気、不倫)の慰謝料を請求するために考えたい5つのステップ(名古屋の弁護士)

<目次>

■はじめに

■Step 1.あなたと夫(妻)は夫婦関係にありますか?

■Step 2.夫(妻)と第三者の間に不貞行為がありますか?

■Step 3.不貞行為を証明できる証拠はありますか?

■Step 4.不貞相手の氏名や住所がわかりますか?

■Step 5.不貞行為の期間・回数、場所などがわかりますか?

■まとめ

 

<内容>

■はじめに

 夫(又は妻)が不貞(不倫、浮気)している場合、あなたは夫(妻)とその第三者である不貞相手に対して精神的苦痛を受けたとして慰謝料の支払いを求めることができます。

 もっともこれは法律関係を前提とするため法律の要件を満たしていなければならないことに加えて裁判となれば証拠をもって証明する必要があります。

 そこで以下では不貞の慰謝料を請求するために検討すべき基本的な事項をまとめておきたいと思います。

 

■Step 1.あなたと夫(妻)は夫婦関係にありますか?

 まずあなたと夫(又は妻)が夫婦関係にあることが必要です。夫婦関係は戸籍で確認します。

 戸籍上の夫婦ではないが長期間夫婦として生活をともにしているという内縁関係(事実婚)についても認められる可能性はありますが内縁関係であることを証明する必要があります。

 また婚約関係にある場合でも認められる可能性がありますが、法律上保護に値する程度の婚約関係に至っていなければならずこれも証明が必要です。

 また戸籍上は夫婦関係であっても別居状態が長期間になっているなど夫婦関係が破綻している状態であればその夫婦関係は法律で保護されるものではないため不貞行為とはなりません。

 最高裁平成8年3月26日判例タイムズ908号 284頁でも、甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないことが確認されています。

 

■Step 2.夫(妻)と第三者の間に不貞行為がありますか?

 不貞行為があったというためには男女間で性交渉があったと認められなければなりません。例えば、喫茶店で親しく会話した、一緒に食事をしたというだけでは仮に恋愛感情があったとしても不貞行為があったということはできません。

 2人でラブホテルに入ったという事実は性交渉があったことを伺わせるものですが、仮に性交渉がなかったのであれば不貞行為はなかったということになります。

 また第三者(不貞相手)が夫(又は妻)が独身であると思っていたという場合、独身の男女と自由な立場で性交渉に及ぶことは違法ではないため、その第三者に対して不貞行為があったとすることはできません。

 

■Step 3.不貞行為を証明できる証拠はありますか?

 第三者の立場である裁判所からすれば不貞行為があったのか、又はなかったのかを知りようがなく、あなたが提出する証拠で不貞行為があったことを判断します。

 一般的には、LINE、ショートメール、SNS、電子メール、録音、ビデオなどで夫(妻)と第三者(不貞相手)が不貞関係にあったことを証明しようとします。

 夫(妻)又は第三者(不貞相手)のうちどちらか一方又は双方が不貞関係を認めていることもありますが、裁判になると否定する可能性があることにも注意が必要です。

 ラブホテルに入る写真、同じ部屋に入る写真、位置情報、レシート、領収書、車内の忘れ物など間接的に不貞関係を伺わせる証拠はさまざまなものが考えられます。

 これらの証拠は一つだけで決定的なものは少なく、さまざまな事情と証拠から不貞行為が疑われるということになります。

 また前述したとおり、第三者(不貞相手)から夫(妻)が独身だと思ったと反論されることもあります。この場合でも同じ職場であったり家族の存在を前提とする行動があったりすれば結婚していることを知らなかったということはできないとして再反論ができる可能性があります。

 

■Step 4.不貞相手の氏名や住所がわかりますか?

 あなたの夫(又は妻)が第三者と不貞行為をしていることがわかっても、その第三者(不貞相手)の氏名や住所がわからなければその第三者に対して慰謝料請求をすることは難しくなります。

 LINEやインスタなどSNSのアカウントだけしかない場合はブロックをされてしまえば確実に連絡する手段がなく、事実上慰謝料の支払いを請求することができなくなります。そのためその第三者の氏名と、住所、現在住んでいる居所、又は勤務先とを知る必要があります。

 また弁護士に依頼する場合であれば、携帯の電話番号、車のナンバープレートなどから登録されている氏名や住所がわかる場合があります。

 

■Step 5.不貞行為の期間・回数、場所などがわかりますか?

 不貞行為は1回でも不法行為が成立して損害賠償として慰謝料請求が認められる可能性がありますが、不貞行為が複数回に及び、その期間が長いなどの事情は違法性に影響があり損害額に影響が及ぶ可能性があります。

 また結婚してから長期間平穏に夫婦生活を送っていたにも関わらず、不貞行為によって夫婦関係は破綻し離婚することになったという事情も損害額に影響する事情です。

 同じ不貞行為でも1回だけで特に夫婦の一方が他方に陳謝するなどして夫婦関係が継続した場合と、その不貞が長期間で多数回に及び、それが直接の原因となって離婚したという場合とでは慰謝料の損害額は大きく異なってくる可能性があるということになります。

 東京地裁令和3年1月20日判決ウエストロー2021WLJPCA01208011では妻(原告)が夫(A)と不貞関係にあった不貞相手(被告)に対し慰謝料の支払いを求めた事案について「原告とAは,平成18年3月に婚姻後,平成29年8月に本件不貞行為が発覚するまで,約11年間にわたって平穏な家庭生活を営んでおり,原告とAの婚姻関係は,本件不貞行為によって,破たんしたと認められること,原告は,本件不貞行為を契機として,食欲不振や睡眠障害などの心身の不調による通院をするようになったこと,原告とAの間には,未成熟子である小学生の娘が二人いること,原告は,Aとの離婚を望んでおらず,被告に対し,Aとの関係を解消するよう述べたが,被告は,原告の申出を拒絶し,Aとの関係を継続し,現在,Aとの間の子と共にAと同居中であることからすれば,原告は,本件不貞行為によって,現在も多大な精神的損害を被っていることが認められる。なお,原告は,うつ病とPTSDの治療費を別途損害として請求しており,通院開始が,本件不貞行為発覚の翌日であることに照らすと,本件不貞行為がうつ病等の発症の契機となっているものと認められるものの,本件不貞行為とうつ病等の発症との間に相当因果関係があるとまではいえないから,原告が通院を継続している事情は,慰謝料の増額事由として考慮することが相当である。また,原告が,関係修復の妨害として主張する点は,結局のところ,被告が現在もAとの関係を継続しているとの慰謝料増額事由に含まれるものであり,被告の訴訟前の交渉態度等については,これが慰謝料増額事由になるほど不誠実であったとは認められない。」として、不貞相手が自身の小学生の娘と同居を継続していること、精神科に通院を開始し現在も継続していることなどから慰謝料の増額を認めました。

 そして「原告とAが未だ離婚していないことを考慮したとしても,本件不貞行為によって原告が被った精神的損害に対する慰謝料は300万円が相当である。」としました。

 この事例では不貞行為によって婚姻が破綻したこと、精神科に通院していること、不貞関係が継続していることなどから離婚していないながらも慰謝料として300万円が認められました。

 

■まとめ

 以上では不貞行為に対して慰謝料請求をする場合の基本的な事項をまとめましたが、実際には何らかの障害があることの方が多く判断が難しくなる場合も少なくないと考えられます。

 そのような場合はお近くの弁護士に相談してみることをお勧めします。

 

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弁護士 水野 健司

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