記事

2019年10月25日

軟弱な地盤に立てられた住宅が傾いた場合に損害賠償が認められた事例

■はじめに

 地盤が軟弱であるにもかかわらず、十分に地盤を固めず、又は基礎杭を打ち込まずに住宅を建ててしまうと、地盤沈下にともなって、住宅が傾いてくることがあります。こうした場合は瑕疵の修補に必要な費用を建築業者・販売業者に求めることができます(東京地裁平成29年 3月24日 判決、判例タイムズ1459号231頁)。

 

■事案の概要

 複数の建売住宅について、軟弱な地盤であったにもかかわらず、適切な地盤改良工事をせず、また基礎に杭を使わずに建ててしまったために、購入後、地盤沈下にともなって住宅が傾いてきました。

 

 裁判では住宅の不同沈下の原因についても争われましたが、地盤が軟弱であるにもかかわらず十分な対応策がとられていないことから、瑕疵を修補するのに必要な費用が損害として認められました。

 

 裁判例では、修補について必要かつ相当な範囲として、基礎を支える補強工事に必要な費用を損害として認めています。また裁判例では弁護士費用の他、慰謝料として100万円を認めました。

 

■コメント

 地盤沈下が原因で住宅が傾きはじめているという場合、住宅の品質確保の促進等に関する法律の適用により、住宅の引渡しから10年の瑕疵担保責任の主張が可能になる場合があります。また過去の裁判例では、不法行為の損害賠償として修繕に必要な費用が損害として認められている場合もあります。

 住宅に関するトラブルなどございましたら、お問い合わせください。

 

水野健司特許法律事務所

弁護士 水野 健司

電話:052-218-6790

閉じる