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2023年05月05日

[業務案内]技術・知的財産の企業法務 名古屋の弁護士水野健司 2024年5月更新

<目次>

■1.はじめに ~地域からイノベーションを創り出す

■2.契約書のレビュー・作成

 (2-1)契約書が果たす役割 ~対等な当事者・行動予測可能性

 (2-2)秘密保持契約・業務委託契約(請負、売買、準委任)

 (2-3)ライセンス契約・販売代理店契約

 (2-4)外国企業との契約

■3.係争対応(交渉、裁判)

 (3-1)係争についての考え方 ~業務活動に係争は不可避

 (3-2)知的財産に関する係争 ~技術、デザイン、ブランド、営業秘密

 (3-3)製造物責任・製品の瑕疵(契約不適合)に関する係争

■4取締役の人事・労務管理

 (4-1)取締役の人事 ~解任の正当理由

 (4-2)労務管理 ~セクハラ・パワハラ、残業代、懲戒、解雇

■5.顧問契約のメリット ~日常の企業活動を把握

■6.弁護士紹介 ~情報技術者から特許実務を経験して弁護士18年目(2024年5月)

■7.解決実績

 (7-1)職務発明に関する規定を整備

 (7-2)消費者向け製品を製造・販売する会社が商標権侵害訴訟を提起した事例

 (7-3)企業の営業秘密を持ち出した元従業員に対して損害賠償を求めた事例

 (7-4)ソフトウエア開発につき仕様変更を巡ってトラブルになった事例

 (7-5)新規ビジネスに対応した契約書の作成

 (7-6)新規取引の相手方から提出された契約書のチェック

 (7-7)社内でハラスメントに関する相談窓口とさせていただいた事例

 

<内容>

■1.はじめに ~地域からイノベーションを創り出す

この30年間は、日本からイノベーションが起きなくなったといわれることがあります。確かに1990年頃を境目に国内の経済は停滞し、技術的にも米国や中国の台頭に追いつけない状況となってきています。

 一方で、自由市場を前提とした民主主義とグローバル化は自国保護主義と新型コロナ危機から転機を迎え、特に海外展開が容易でない中小企業では地域の生活に課題を見い出し、地域の経済活動を循環させて地域での成長を目指すこと、またコストを削減するのではなく、できる限り付加価値を伴う高水準の利益を確保できる商品・サービスを提供しなければならなくなってきています。

 すなわち、中小企業は地域でイノベーションを引き起こす基点となり、地域の経済活動を支える責任を担っているといえます。

 当事務所では、企業が創造性を発揮し、自由な発想から事業を展開するにあたり、障壁となる法的課題について法律専門家として豊富な知識と経験から企業活動をサポートしていきます。

 

■2.契約書のレビュー・作成

 (2-1)契約書が果たす役割 ~対等な当事者・行動予測可能性

 中小企業の実務では見積とこれに対する発注で業務委託がなされ、特に契約書が交わされていない場合も珍しくありません。

 しかし、契約書がなければ大企業である発注者が代金、仕様、納期など重要な条件をすべて決め、受注者の立場が弱くなってしまうことも少なくありません。

 そのため、当事者間が対等な立場で取り引を行うために契約書を締結することが必要です。仮に契約書で不均衡な内容があれば、独占禁止法の優越的地位の濫用などにあたることになり、是正を求めることができます。

 また契約書があることで、自社の製造が間に合わなかった場合や契約不適合(瑕疵)が発生した場合にどう行動すればよいのか、どの程度の損害を負担することになるのか、といった行動規範と損害の予測を立てることができることになります。

 企業活動を継続していれば、どこかでリスクのある取引を実施することはあり、契約書を締結することでリスクを受け入れながらもできる限り不測の事態が起きないようにすることができます。

 

 (2-2)秘密保持契約・業務委託契約(請負、売買、準委任)

 技術を基礎に製造委託や共同開発を行う際に、まず秘密保持契約を締結して技術を開示し、評価を行おうとすることは新しい取引を開始する際にはよく行われるものです。

 業務委託契約は、製造業が製品を製造したり加工したりする場合に最もよく締結される形態の契約であり、基本契約を締結した上で個別契約の成立条件、納品と検収、不具合があった場合の対応など契約で重要な条件が規定されることになります。ソフトウエアであればシステム開発契約、ホームページの製作でも請負契約として締結されます。

 また業務委託といっても仕様が定まっていないシステム開発では、仕事の結果を目的とする請負ではなく、準委任契約を締結して仕事の完成を契約の目的としない形の契約が交わされることもあります。

 

 (2-3)ライセンス契約・販売代理店契約

 知的財産権を有する企業では、交渉の結果その権利を利用するためにライセンス契約を結び、一定の利用料を支払うことが考えられます。この場合、どのように利用料を設定し、適切に支払いを確保するかが問題になります。また製造業では、販売チャネルに限界があることから他社に販売を委託することが考えられ、その場合販売代理店契約を締結することが考えられます。

 いずれの形態にしても当事者の実情に合わせて契約条項を作成したり、修正したりする必要があります。

 

 (2-4)外国企業との契約

 近時は中国、ベトナムを製造拠点としてだけではなく、市場としても検討する状況です。このように海外企業を相手として契約する場合は、日本語や中国語では一方に有利になってしまうことから英文で共通の契約書を作成することもあります。

 当事務所では、提携する翻訳者を通じて高い品質の英文契約書を作成したり修正したりすることが可能です。

 

■3.係争対応(交渉、裁判)

 (3-1)係争についての考え方 ~業務活動に係争は不可避

 新しい事業分野で活動しようとする場合で、特に売り上げが伸び、利益が出るようになると、取引先、顧客、競合企業との関係で係争に巻き込まれることがあります。これは従前利益を得られていた企業が何らかの形で売り上げを奪われ、利益が得られなくなるからであり、ある市場で事業を拡大しようとすれば、高い確率で係争が発生すると考えてよいでしょう。

 特に技術、デザイン、ブランド、営業秘密は商品・サービスの付加価値に貢献している場合が多く、利益率が高くなることから他社が自らの権利を侵害されたとして権利侵害を主張する構造となりやすいため、売り上げや利益が出ればそれに伴って係争も多くなるといえます

 新しい事業を始めれば商品・サービスに不具合が伴うこともあり、ある程度の確率で係争が起きることは不可避と考えた方がよいでしょう。

 

 (3-2)知的財産に関する係争 ~技術、デザイン、ブランド、営業秘密

 特許、意匠、商標、著作権等の侵害案件では、侵害が疑われる商品を入手して権利を侵害しているか否かを慎重に検討する必要があります。

 もっともデザインに関する権利としては、不正競争防止法の形態模倣や著作権侵害を主張することも少なくないため、仮に登録した意匠権がなかったとしても不法行為を主張できる可能性があります。

 また登録された商標権がなかったとしても、不正競争防止法の商品等表示により不法行為が成立する可能性があり、検討する必要があります。

 その他、退職した従業員が顧客名簿や技術情報を無断で持ち出した場合は、不正競争防止法の営業秘密の持ち出しとして不法行為が成立する可能性があります。

 いずれにしても弁護士や弁理士に相談してみる必要があるでしょう。

 

 (3-3)製造物責任・製品の瑕疵(契約不適合)に関する係争

 業務委託として製造・加工した製品を納品したり販売したりする場合、何らかの不具合で本来の機能を十分に果たさないことがあります。このような場合、原因により債務不履行であったり、契約不適合であったりしますが、損害賠償請求など何らかの請求を受けることがあります。

 このような場合に交渉や裁判について弁護士が代理人として相手方とやり取りをすることになります。

 

■4取締役役の人事・労務管理

 (4-1)取締役の人事 ~解任の正当理由

 取締役は、経営者としてある程度のリスクを覚悟しつつ事業を成長させる責任を負う立場にありますが、違法行為を行うなど裁量権を逸脱した行為があれば、経営判断だけでなく取締役としての適格性が疑われることになり、株主総会により解任されることになります。

 取締役が解任された場合、仮に解任に正当な理由がないとしても解任自体が無効となるわけではなく、解任の効果が発生することを前提に取締役は会社に対して損害賠償を請求することになります。

 

 (4-2)労務管理 ~セクハラ・パワハラ、残業代、懲戒、解雇

 従業員が働きやすい環境を整えることは会社の責任であり、その意味で上司がセクハラやパワハラをするようなことがないようにしなければなりません。

 一方、従業員に業務懈怠があった場合は、適切な処分を実施し、指導・監督していく必要があります。この場合必要ならば、従業員を解雇することも考えられますが、解雇は処分として最も重いものであり、厳格な手続きを経た上で解雇事由があることを慎重に検討する必要があります。

 

■5.顧問契約のメリット ~日常の企業活動を把握

 顧問契約を締結していただくことにより、日常で生ずる法律上の疑問を解消しながら事業を進めていくことが可能になります。当事務所としても企業の活動内容や事業の特徴を理解した上で最適なアドバイスをすることが可能になります。

 現在の日本では規制も多く、著作権やプライバシーなど従前はあまり問題にしてこなかった新しい法律事項も発生してきており、従来の常識で活動していると現在のコンプライアンス(法令順守)の基準からは受け入れられず、違法となることも珍しいことではありません。法律の問題は常に起きるものです。足元をすくわれることのないよう弁護士に問い合わせる習慣をつけていきましょう。

 

■6.弁護士紹介 ~情報技術者から特許実務を経験して弁護士18年目(2024年5月)

1966年(昭和41年)名古屋市に生まれる

1972年(昭和47年)愛知県知多郡美浜町河和小学校入学

1978年(昭和53年)三重県員弁郡北勢町阿下喜小学校卒業

1981年(昭和56年)名古屋市立桜田中学校卒業

1984年(昭和59年)愛知県立瑞陵高校卒業

1989年(平成元年)名古屋大学工学部情報工学科卒業

1989年(平成元年)セコム㈱セコムIS研究所人工知能研究室配属

1991年(平成3年)足立国際特許事務所(現: 名古屋国際弁理士法人)入社

2005年(平成17年)最高裁判所司法研修所第59期司法修習生

2006年(平成18年)愛知県弁護士会弁護士登録

2006年(平成18年)桑原亮法律事務所入所

2007年(平成19年)名古屋国際特許業務法人(現:名古屋国際弁理士法人)入社

2007年(平成19年)日本弁理士会弁理士登録

2013年(平成25年)水野健司特許法律事務所設立

2014年(平成26年)現在の場所に移転

 大学では情報工学を専攻し、セコム株式会社セコムIS研究所人工知能研究室でデジタル機器の故障診断の研究テーマを担当しました。その後、名古屋に戻り足立国際特許事務所にて自動車のエンジン制御、コンピュータ制御など情報技術に関連した特許明細書の作成業務を担当しました。

 弁護士登録後は一般民事を経験した後、名古屋国際特許業務法人所属の弁護士として特許侵害訴訟、技術関連契約書のレビュー・作成、特許無効審判など知的財産に関する係争案件を多数経験し、水野健司特許法律事務所設立後は知的財産に加えて業務委託に関する契約書や係争、取締役の解任、労働者に対するパワハラ・セクハラ、解雇処分などの案件を経験してきました。また中小企業家同友会の活動を通じて中小企業経営について学んできました。

 

■7.解決実績

 (7-1)職務発明に関する規定を整備

  □相談前

 社内に職務発明に関する規定がなく、従業員から対価を求められたときに争いになるリスクがありました。

  □相談後

 社内で職務発明に関する規定を整備して従業員を対象に説明会を開催し、周知しました。

 (7-2)消費者向け製品を製造・販売する会社が商標権侵害訴訟を提起した事例

  □相談前

 自社と競合する会社が、承諾なく自社と類似したカタログを使って、競合製品を販売しており、知財権侵害ではないかと相談がありました。

  □相談後

 侵害行為を確認したところ、著作権侵害ではなく、商標権侵害と不正競争防止法違反により侵害訴訟を提起し、勝訴的和解により解決金を得ることができました。

  □コメント

 同じ侵害行為でも複数の知的財産権が問題になり得るところであり、訴訟上の立証の容易性、損害額の大小などを総合的に検討して、どの権利侵害を主張するのかを見極める必要があります。

 (7-3)企業の営業秘密を持ち出した元従業員に対して損害賠償を求めた事例

  □相談前

 会社に勤務していた元従業員が在籍勤務中にパソコンから契約者に関する個人的なデータをコピーし、契約者に情報を漏らしていたとして会社責任者から相談がありました。

  □相談後

 会社における情報の管理体制を確認した上で、元従業員に対して不正競争防止法違反を主張し、元従業員代理人との間で元従業員が解決金を支払う内容の和解が成立しました。

  □コメント

 不正競争防止法上の営業秘密といえるためには、特に秘密管理性の要件が問題になりますが、本件ではある程度の管理がされており、交渉により解決することができました。

 (7-4)ソフトウエア開発につき仕様変更を巡ってトラブルになった事例

  □相談前

 ソフトウエアの制作を受注したが、注文者の都合で仕様が何度も変更になり納期が延びていました。

  □相談後

 事実関係を整理し、争点を明らかにして、請負代金を確保するため、相手方と交渉を行いました。

  □コメント

 多数の仕様変更がどちらの都合で行われたのかを明確にすることで、変更追加分の費用負担の所在を明らかにすることができました。

 (7-5)新規ビジネスに対応した契約書の作成

  □相談前

 自社のウェブ上のサービスを新規に立ち上げるにあたり、サービス内容に合った契約書がありませんでした。

  □相談後

 当事務所でサービス内容の聴き取りを行い、サービス内容自体があいまいな箇所を整理して、会社が負うべき権利・義務を明確にしました。

  □コメント

 取引の多様性から従来の契約書のひな形(サンプル)では対応できない状況が増えてきており、個々のサービスに合わせた契約書の作成が必要になっています。

 (7-6)新規取引の相手方から提出された契約書のチェック

  □相談前

 製造委託を請け負う企業が新規に取引を開始しようとしたところ、相手方から守秘義務契約書が送られてきました。

  □相談後

 守秘義務の対象となる情報の範囲、例外、注意義務、人的範囲、義務の程度、裁判管轄など、基本重要事項を確認し、不利な箇所、不明確な箇所を修正しました。

  □コメント

 製造業にとっては守秘義務契約、業務委託契約などは日常的に発生する個別業務の手続、責任の所在を明確にするものであり、外部の第三者がチェックするのが望ましいでしょう。

 (7-7)社内でハラスメントに関する相談窓口とさせていただいた事例

  □相談前

 社内のパワハラが原因で従業員が退職してしまうという人事担当者からの相談がありました。

  □相談後

 当事務所が社外の独立した相談窓口となり、会社内で起きたハラスメントについて従業員から相談を受けることにしました。

  □コメント

 上司からのハラスメントは人間関係などが障害となって、なかなか社内で相談されないまま放置されがちです。そのような場合、従業員が退職した後に労働審判などでパワハラが明らかになることもあり、対応が遅れてしまうことになります。

 そのため第三者機関として、社内の人間関係から切り離された独立の相談窓口に相談していただく仕組みを作ることで、社内のハラスメント事例を早期に発見し、対応することができるようになります。

 

令和6年5月更新

 

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